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文書作成日:2025/05/20
遺言書の封印を解く前に知っておくべき手続き

今回は相談事例を通じて、公正証書遺言書を開封する際の注意点について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 夫が亡くなりました。夫は生前、公正証書遺言を作成しており、遺言にて遺言執行者に配偶者である私を指名しています。
 四十九日法要で相続人や受遺者が一同に集まるため、その際、遺言のコピーおよび遺言執行者として就任したことの書面を交付したいと考えています。遺言をコピーするために遺言を開封する必要があるのですが、他の相続人に見せずに、先に私だけが遺言を開封してもよいものでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 公正証書遺言の場合、民法1004条2項より検認手続きが不要となりますが、同条3項により、封印されている遺言書については公正証書遺言であっても、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会がなければ開封はできないとされています。

A-2
詳細解説

 この点、公正証書遺言では開封しても問題がないようにも考えられますが、封印がなされている場合には封に入っている書面が判別できないことからすると、やはり家庭裁判所での開封をせざるを得ないものと解されます(山崎巳義「遺言執行の手引」p25)。

 そのため、公正証書遺言書が封印されており、開封を要する場合には、家庭裁判所に開封を申し立て、相続人または代理人(相続人全員である必要はありません)の立会の下で開封する必要があります。

 なお、家庭裁判所以外で開封した場合、公正証書遺言であるため遺言が無効となる可能性は低いものの、5万円以下の過料に処される可能性が完全には否定できません(民法1005条)。ご注意ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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